不動産売却で買取保証を利用する際のメリットと注意点
買取保証のデメリット
買取保証を利用する際のデメリットは相場よりも安い価格での売却になる点です。買取保証によって買い取られた不動産は、その後リフォームが行われて一般市場で売り出されます。リフォームの価格や、名義変更手続きにおける手間やコストを加味しての買い取りとなるため、相場に沿った適正価格での売却よりは安くなります。
ただし、立地が悪い、築年数が経っていてリフォームなしでは住めないなど、仲介で一般市場に出しても買い手が見つかりづらい不動産であるならば、買取保証を利用するのは有効です。一定期間は仲介で一般市場に売り出せるので「もしかしたら買い手が見つかるかもしれない」といった思いも満たせ、納得のいく売却ができます。
買取保証を利用した方がよい人・しなくてもよい人
買取保証を利用するのがおすすめなのは「買い手がつきづらい不動産を売却したい人」「期日があり、それまでに売却したい人」です。買い手がつきづらい物件は、仲介に出しても売却できる可能性が低いので、売れ残りを心配しなくてよい買取保証は有効な選択肢になります。また、引っ越しして新居を購入するので、その頭金にしたいなど期日内に不動産を現金化する必要がある場合もおすすめです。一般的に、不動産は売り出してから買い手が決まるまでは3か月ほどかかるので、それよりも早く売りたい場合には買取保証を検討するとよいでしょう。
一方で、買取保証を利用しなくてもよい人は、「時間をかけても適正価格で不動産を売りたい人」です。いつまでに売却をしなくてはならないという制約がないのなら、あえて買取保証を利用するメリットは大きくありません。また、立地のよい不動産や築浅の不動産など、早く買い手がつきやすい不動産の売却をしたい場合も、売却価格が下がってしまう買取保証は向いていません。
仲介での売却活動に消極的になる恐れがある
仲介での売却と、買い取ったあとにリフォームして自社で売る場合を比較すると、不動産会社に利益が大きいのは後者です。そのため、買取保証では、仲介での売却活動をあえて積極的に行わずに期限になるのを待ち、買取をしようと考える悪質な不動産会社もいます。
囲い込みをする不動産会社がいる
買取保証で最も悪質なのは囲い込みをされるケースです。仲介での不動産売却では、不動産会社は仲介手数料を収入にしています。不動産会社は、売主だけでなく買い手にもついているので、自社が売主・買い手両方の仲介をできれば収入は倍になります。これを両手取引といいます。両手取引のために、他社からの内見問い合わせなどに対し「今、担当者がいない」「現在交渉中で案内ができない」などと嘘をつき、自社経由での買い手を見つけようとする行為が囲い込みです。
囲い込みは、他社からの問い合わせをシャットアウトするので、買い手が見つかるまでの時間が長くなり、売主にはメリットがありません。そして買取保証であればその間に買い手が見つからなくても不動産会社は自社で利益を乗せて売りますし、その際の売却では買い手からの仲介手数料も得られる可能性があるため、悪質な不動産会社で横行しています。しかし、両手取引や囲い込みは違法ではなく、売主も囲い込みをされていることの証拠はつかみにくいのが現状です。囲い込みは大手不動産会社でも行われていることがあるので、重要なのは担当者選びになります。
買取保証自体は良い仕組みです。しかし、買取保証ありきで売却活動を行うと、悪質な不動産会社では囲い込みが行われ、結局、適正価格よりも安くい直接買取になってしまうケースが多くなります。いつまでに必ず現金化したい、という期日がないのならば、買取保証を検討しているということは、あえて言わない方がよいケースもあるでしょう。
囲い込みを避けるのは、簡単ではありません。そのため、不動産売却では、信頼できる不動産会社、営業担当者選びが何よりも重要になります。不動産売却では、複数の不動産会社に査定依頼をし、価格だけでなくその根拠や対応を見て、信頼できる不動産会社を選ぶことをおすすめします。