実家を売りたい方必見!片付け解体で損せず相続不動産を高値売却する全手順
実家を売りたいと考えたとき、良かれと思って進める事前の片付けや建物の解体こそが、手元に残る現金を大きく減らす最大の原因です。ネット上で推奨される「更地にしてから売却」「自腹での遺品整理」を鵜呑みにすると、高額な持ち出し費用を回収できないばかりか、住宅用地の特例から外れて固定資産税が跳ね上がる致命的なリスクを背負います。
実務上、家具や家電、衣類などが残る4LDKの片付けでは、2トントラック数台分の搬出量になることもあり、作業人数や分別の状況次第で費用・日数は大きく変わります。解体についても、接道条件や重機の搬入可否、地中埋設物の有無によって追加費用が発生するため、工事を先行させる前に売却後の手残りまで比較することが重要です。
古い実家の売却で最も手取り額を増やす解決策は、家具や荷物が残ったままの「現状有姿」で売り出すか、解体費用を契約後に買主側と精算する戦略的な特約を活用することです。さらに、親が健在なうちに認知症による資産凍結を防ぐ対策や、相続登記の義務化に伴う換価分割の設計、最大3,000万円の特別控除を適用する確定申告までを正しい順序で進めなければ、数百万円単位の税金損失を被る事態になりかねません。
不動産会社が提示する査定額の高さに惑わされず、仲介と直接買取の双方を冷静に比較し、法務や税務の落とし穴を事前に排除できるかどうかが売却の成敗を分けます。株式会社トップトラストでは、売却・買取再販・税務相談までを横断して検討するなかで、価格だけでなく、残置物、境界、相続人間の意思確認、売却期限を同時に整理することが、結果として負担と損失を抑えると考えています。本書では、自己資金を1円も無駄にせず、兄弟間のトラブルも未然に防ぎながら、最短距離で実家を高値現金化するための実践的な全手順を明快に提示します。
目次
実家売りたい人が最初に知るべき落とし穴と損を防ぐ3原則
実家を売りたいと考え始めたとき、多くの方が「まずは片付けをして、家を取り壊して更地にすれば高く売れるはず」と思い込んでしまいます。しかし、不動産の現場では、良かれと思って先走った行動が原因で、結果的に手残りを大きく減らしてしまう売主様もいます。
一般的には「家をきれいにしてから売る」と言われますが、私たちが扱ってきた実家売却では、先に片付けや解体へお金をかけたことが、必ずしも有利な結果につながるわけではありませんでした。
たとえば、都心から電車で約50分の住宅地にある、築約38年・木造2階建て・延床約110㎡の空き家を検討した際のことです。親御様の施設入所後、約2年間空き家になっており、室内には家具、家電、衣類、食器、アルバムなどがほぼ残された状態でした。
当初、ご家族は「全部片付けてから売らないと迷惑をかける」と考えていました。しかし、現地を確認すると、残置物は2トントラック4台分ほどになり、専門業者による撤去見積もりは税込88万円でした。ご家族が週末ごとに作業する場合、分別、粗大ごみの予約、搬入、清掃まで含めると、延べ20日以上の休日を使う見込みでした。
思い出の詰まった大切な実家だからこそ、焦って自己資金を持ち出し、後悔の残る安売りをしてはいけません。大切なお金と時間を守るために、売却活動を始める前に押さえておきたい3つの原則をお伝えします。
ネットの情報を鵜呑みにして自腹で片付けや解体を進めてはいけない理由
インターネットで売却ノウハウを調べると、「内覧前に荷物をすべて処分しましょう」「古い家は解体して更地にしたほうが買い手がつきやすい」というアドバイスが目立ちます。しかし、業界人の目線から現場の実情をお話しすると、この情報をそのまま実行する前に、一度立ち止まる必要があります。
一般的な戸建ての解体費用は木造でも150万円から300万円程度かかることがあり、家財道具や遺品整理の処分費用だけでも30万円から80万円前後、物量や立地条件によっては100万円を超える持ち出しが発生します。問題は、これだけの大金をかけて更地にしても、かけた費用分を売却価格に上乗せして回収できる保証がない点です。
先ほどの築約38年の案件でも、更地にする場合は解体費用として約220万円が見込まれました。前面道路が狭く、重機を入れにくいことが費用に影響していました。更地にして仲介で売る場合の想定価格は1,680万円前後でしたが、解体費、残置物撤去費、仲介手数料、保有中の固定資産税や火災保険料を差し引くと、売主様が受け取れる金額は見た目ほど伸びません。
一方で、残置物を残したまま、境界非明示や契約不適合責任の範囲を整理したうえで不動産会社へ売却する方法では、買取価格は1,320万円でした。額面だけを比較すると更地売却より低く見えますが、88万円の片付け費、解体費、仲介手数料、数か月分の管理負担を考慮すると、最終的な差額は20万〜30万円程度に収まりました。決済までにかかった期間も、仲介で販売する場合の想定約8か月に対し、約3週間でした。
近年は、古い建物をリノベーションして住みたい買主や、事業用に古家を活用したい買主もいます。立地や建物の状態によっては、古い家屋そのものが購入判断の材料になることもあります。解体することで、そうした買主層を逃す可能性もあります。
家具や不用品が大量に残った状態でも、古家付き土地として売り出す方法、不用品撤去費用を売買代金から精算する方法、不動産会社による直接買取を選ぶ方法があります。自己資金から高額な持ち出しをする前に、現状のままで売却できるルートを確認することが堅実です。
| 売却手法 | 初期費用の持ち出し | メリット | デメリット・現場での注意点 |
|---|---|---|---|
| 自腹で解体して更地渡し | 150万円〜300万円以上になる場合がある | 土地として検討する買主には分かりやすい | 解体費を売価へ転嫁できず、手残りが減ることがある |
| 古家付き土地として売却 | 原則0円から開始可能 | 初期費用を抑えながら販売を始められる | 建物の老朽化や立地によって買主が限られることがある |
| 不動産会社による直接買取 | 原則0円から開始可能 | 残置物や建物の状態を含め、短期間で条件を固めやすい | 仲介での成約価格より売却額が低くなる傾向がある |
私自身、以前は「まずはご家族で形見分けを済ませましょう」と案内することが親切だと思っていました。しかし、それが必ずしも正解ではないと痛感した経験があります。
あるご長男に、アルバムや貴金属、手紙などを兄弟で確認してから処分業者を入れるよう提案したところ、数か月間、作業が進みませんでした。後から伺うと、親御様の衣類や筆跡の残るメモを見るたびに手が止まり、遠方に住むご兄弟との間でも「これは残すべきか」「なぜ捨てるのか」と意見が対立していたそうです。
実家の片付けは、単なる不用品処分ではありません。ご家族にとっては、親御様の人生や思い出と向き合う作業でもあります。そのため、私たちは最初から「全部を判断しよう」とはお伝えしていません。通帳、権利証、印鑑、貴金属、保険証券、遺言書の有無などを確認したうえで、迷う品は段ボール3箱程度の「保留箱」に入れ、残りは無理に一つずつ判断しない方法をご案内することがあります。
土地の固定資産税が跳ね上がる更地リスクと境界確定の罠
「解体して更地にすれば買い手が見つかりやすい」という考え方にも、税金面と権利関係の面で注意点があります。住宅が建っている土地には、一定の条件のもとで住宅用地に対する課税標準の特例が適用され、固定資産税や都市計画税が軽減されています。
建物を取り壊した場合、その翌年1月1日時点で住宅が存在しなければ、原則として住宅用地特例の対象外となります。土地の条件によって実際の税額は異なりますが、固定資産税の負担が大きく増える可能性があります。
更地にした後、すぐに売却できれば問題が表面化しにくいこともあります。しかし、買主が見つからなかった場合、売主様は解体費用に加え、増えた税負担、草木の管理費、近隣対応の負担を抱えることになります。特に、相続税の特例期限などが近い状況では、「期限までに売らなければならない」という焦りが生まれ、価格交渉で不利になりやすい点にも注意が必要です。
また、古い実家では「隣地との境界確定」が売却の障害になることがあります。境界標が見当たらない、古い測量図と現況が一致しない、塀や庭木が越境しているといった事情は珍しくありません。
境界確定測量は、土地の広さ、道路の種類、隣接地の数、官民境界の確認の有無などにより、40万円〜80万円程度、場合によっては100万円を超えることがあります。さらに、隣地所有者との立ち会い日程が合わない、相続で所有者が複数いる、境界について意見が分かれるといった事情があると、数か月以上かかる場合もあります。
実際に、解体を進める前に測量を検討したところ、隣接地の相続登記が未了で連絡先の特定に時間を要し、当初の売却計画を見直した案件もありました。建物を先に壊してしまうと、売主様には「早く売らなければ」という事情だけが残ります。
- 建物を解体すると、翌年以降の固定資産税負担が増える可能性がある
- 売却が長期化した場合、税金・保険・除草・見回りなどの維持費が積み重なる
- 境界標の有無、越境、隣地所有者の状況を確認せずに解体を決めるのは危険
- 境界非明示で売却できるか、測量が必要かは、買主層や物件の状況によって判断する
親の名義のままでは売却できない大原則と意思能力の確認
実家を売却するにあたり、最初に確認すべきなのが登記簿に記載されている所有者と、その方の意思能力です。法律上、不動産の売買契約を締結できるのは原則として名義人本人です。実子であっても、親御様の承諾や適切な代理権なしに売却することはできません。
親御様がご健在でも、認知症や病気などにより不動産売却の内容を理解・判断することが難しい状態では、売買契約が有効に成立しないおそれがあります。金融機関、司法書士、不動産会社も、契約時には本人確認だけでなく、売却意思や判断能力を慎重に確認します。
「施設に入ったから、子どもが売ってよい」とは限りません。施設入所後も、親御様が売却の意味を理解し、明確な意思を示せるなら、委任状や代理手続を活用できることがあります。ただし、親御様の状態、契約内容、司法書士の判断などによって対応は異なります。
すでに成年後見制度を利用している場合、本人の居住用不動産を売却・賃貸・解体するには、原則として家庭裁判所の許可が必要です。介護費用を確保する目的であっても、自由に処分できるわけではありません。
実家を売りたいと考えたときは、査定よりも先に、名義、親御様の意思、相続の有無を確認してください。家族で将来の方針を話し合い、必要に応じて司法書士、弁護士、税理士などへ早めに相談することが、後の選択肢を広げます。
実家を売りたいなら親が健在のうちに進める生前売却と認知症対策
実家を売りたいと考えたとき、多くの方が直面するのが親の高齢化に伴うタイムリミットです。元気なうちに手放す生前売却は、将来のトラブルを未然に防ぎ、家族全員の負担を軽くする選択肢の一つです。
施設入所や介護資金を確保するために生前売却を選ぶメリット
親が老人ホームなどの施設へ入所するタイミングは、実家の今後を考える機会になります。生前売却のメリットは、売却代金を親御様自身の入居一時金、月額費用、医療費、介護費用などへ充てられる点です。
また、不動産を現金化することで、将来の遺産分割を進めやすくなる場合があります。不動産のまま残すと、「誰が住むのか」「誰が管理するのか」「売るならいくらで売るのか」といった論点が増えます。現金化が常に正解とは限りませんが、相続人間で公平に分けやすいことは事実です。
| 比較項目 | 親が健在時の生前売却 | 親が亡くなった後の相続売却 |
|---|---|---|
| 資金の使い道 | 親御様の生活費・介護費などに活用しやすい | 相続人間での分配が中心になる |
| 所有者の同意 | 本人の意思能力があることが前提 | 相続人全員の合意が必要になる場合が多い |
| 親族間の調整 | 親御様の意向を軸に決めやすい | 分割方法や価格を巡り意見が分かれやすい |
| 空き家管理 | 売却後は固定資産税・管理負担を抑えられる | 遺産分割が長引くと維持費が続く |
ただし、親御様にとって実家は単なる資産ではありません。「売ったほうが合理的だから」という説明だけでは、気持ちが追いつかないこともあります。私たちは、売却を急かすのではなく、売却後の住まい、手元資金、残したい思い出の品、家族への伝え方まで含めて整理することが大切だと考えています。
認知症が進むと実家が売れなくなるタイムリミットの現実
実家の売却で注意したいのが、親御様の認知症などによる意思能力の低下です。不動産売買は金額が大きく、生活に与える影響も大きいため、契約内容を理解して判断できる状態であることが求められます。
「まだ元気だから、急がなくても大丈夫」と考え、数か月後に改めて相談を受けた際、親御様の状態が変わっていて手続が大きく複雑化していたことがあります。認知症の進行速度は個人差が大きく、家族だけでは判断しにくいものです。
意思能力が十分ではないと判断される場合、成年後見制度の利用を検討することになります。ただし、成年後見人が選任されれば、家族が自由に売却代金を使えるわけではありません。本人の財産を保護するための制度であり、売却の必要性や条件についても慎重な確認が行われます。
- 成年後見開始の申立てから選任までには一定の時間がかかる
- 本人の居住用不動産を売却・解体するには、原則として家庭裁判所の許可が必要
- 売却代金は本人のために管理・使用される
- 親御様の状況や家族構成によっては、任意後見や家族信託も含めた検討が必要になる
売却の意思が明確なうちに、親御様と家族で「住み替えが必要になったらどうするか」「施設に入ったら実家をどうするか」を話しておくことが重要です。
代理人による売却手続きや家族信託の検討と注意点
親御様の足腰が弱く、契約や決済の場へ出向くことが難しい場合でも、本人の売却意思が明確であれば、委任状により子どもが代理人となって手続きを進められる場合があります。この場合も、不動産会社や司法書士が親御様と面談し、売却の内容を理解しているかを確認することがあります。
将来の判断能力低下に備える手段として、家族信託を検討するご家族も増えています。親御様が元気なうちに、財産の管理や処分に関する権限を信頼できる家族へ託す仕組みです。設計内容によっては、親御様の判断能力が低下した後も、受託者が信託契約に基づいて不動産を売却できるようにしておくことが可能です。
ただし、家族信託は万能ではありません。契約内容、税務、他の相続人への説明、金融機関との関係などを慎重に整理する必要があります。
- 家族信託では、公正証書の作成を検討するケースが多い
- 専門家への相談・組成には数十万円規模の費用がかかることがある
- 受託者だけで話を進めると、他の家族に不信感を持たれる場合がある
- 不動産の売却だけでなく、介護費用や相続後の分配まで見据えた設計が必要になる
実家を売りたい相続人のための売却手順と兄弟トラブルを防ぐ分割法
親が遺してくれた家を手放すと決めたとき、立ちはだかるのが遺産分割と兄弟間の温度差です。実家には思い出があるため、金額だけでは整理できない感情が入り込みます。
遺産分割協議から2024年義務化の相続登記を完了させる流れ
親御様が亡くなった後、実家を売るには、原則として相続人を確定し、遺産分割協議を行い、相続登記を済ませる必要があります。相続登記が未了のままでは、通常、売却による所有権移転登記を進められません。
相続登記は2024年4月1日から義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となる可能性があります。なお、2024年4月1日より前に発生した相続についても、未登記であれば原則として2027年3月31日までに対応が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を確定する
- 固定資産税納税通知書、登記事項証明書、評価証明書などを確認する
- 相続人全員で遺産分割協議を行い、協議書を作成する
- 相続登記を申請し、売却できる名義状態に整える
- 査定、販売方法、税金の特例適用の可否を並行して検討する
遺産分割協議が期限内にまとまらない場合には、相続人申告登記という制度を利用できる場合もあります。ただし、相続人申告登記は売却できる状態を整える登記ではないため、実際に売るには最終的な相続登記が必要です。
兄弟での共有名義登記が絶対に推奨されない理由
実家を兄弟で相続する場合、「公平だから」と共有名義にすることがあります。しかし、将来の売却を前提にしているなら、共有名義には慎重であるべきです。
共有名義では、売却、建物解体、抵当権設定などの重要な処分行為に共有者全員の協力が必要になります。兄弟の仲が良い間は問題がなくても、転勤、病気、相続、連絡不通などで状況が変わると、手続が止まりやすくなります。
| 分割方法 | メリット | デメリットと現場で起きやすい問題 |
|---|---|---|
| 共有名義 | その場では法定相続分に沿って公平に見える | 売却・解体に共有者全員の協力が必要になる |
| 単独名義による換価分割 | 窓口を一本化しやすい | 売却代金の分配ルールを協議書に明確にする必要がある |
共有者の一人が亡くなれば、その持分はさらに相続されます。相続人が増えるほど、実印の取得、意思確認、売却条件の合意は難しくなります。実家を売る方針が決まっているなら、後の売却手続を見据えて分割方法を決めることが重要です。
最も公平に現金を分け合える換価分割の具体的な進め方
複数の相続人で実家を清算する方法として、換価分割があります。実家を売却して現金化し、仲介手数料、登記費用、測量費、税金などを差し引いた金額を、遺産分割協議で決めた割合に応じて分配する方法です。
実務では、相続人のうち一人を代表者として単独名義に相続登記し、その代表者が売主として売却を進める形が選ばれることがあります。この場合は、遺産分割協議書に、換価分割を目的とすること、売却後の分配割合、費用負担をできるだけ具体的に記載しておくことが大切です。
代表者から他の相続人へ送金する際に、事情が書面で整理されていないと、贈与ではないかと疑問を持たれる余地が生じます。税理士や司法書士とも確認しながら、取引の経緯を残しておくと安心です。
実家を売りたいけれど古い・荷物だらけの家を最も有利に処分する裏ワザ
実家を売りたいと考えたとき、「荷物をなくし、建物を壊し、更地にしなければ売れない」と感じる方は少なくありません。しかし、実際には、古い家・荷物が多い家ほど、先に費用をかけないほうがよい場合があります。
荷物や遺品がそのままでも売却できる現状有姿の売り出し方
現状有姿とは、原則として現在ある状態を前提として売却する考え方です。残置物があること、建物に経年劣化があること、売主が把握している不具合があることなどを、契約前にできる限り買主へ説明し、条件を整理したうえで取引します。
築年数が古い戸建てでは、DIYやリノベーションを前提とした個人の買主、土地活用を考える事業者、再販事業者などが購入を検討することがあります。すべての物件に当てはまるわけではありませんが、売主様が高額な整理費を負担する前に、現況での需要を確かめる価値はあります。
私たちが検討した築約38年の実家では、残置物の処分に88万円、作業員4名で2日間が必要という見積もりでした。売主様は当初、「片付けなければ査定すらできない」と考えていましたが、現況写真、建物状況、道路条件、再建築の可否などを確認したうえで、残置物を含めた売却条件を提示しました。
その結果、売主様は数か月にわたって休日を片付けに費やすことなく、保留箱に残した写真や書類だけを整理して売却を進められました。片付けをしないことが目的ではなく、「売主様が本当に負担すべき作業だけに絞る」ことが大切です。
解体更地渡しの特約を活用した賢い売却戦略
立地条件や買主の建築計画によっては、更地での引き渡しを求められることもあります。その場合でも、買主が決まる前に解体を発注する必要はありません。
売買契約で「売主の費用負担により、引渡しまでに建物を解体して更地で引き渡す」といった解体更地渡しの特約を設ける方法があります。契約内容や手付解除、ローン特約、解体工事のスケジュールなどを丁寧に詰める必要はありますが、少なくとも買主が確定する前に大きな費用を支出するリスクを抑えられます。
| 手法 | 持ち出し費用のリスク | 税負担への影響 | 契約が成立しなかった場合 |
|---|---|---|---|
| 先に自腹で解体 | 解体費150万円〜300万円以上を先に負担する場合がある | 翌年以降の住宅用地特例に影響する可能性がある | 更地だけが残り、売却活動を継続することになる |
| 解体更地渡しの特約 | 契約条件と売買代金を踏まえて資金計画を立てやすい | 引渡し時期を見据えて調整しやすい | 原則として契約前に解体をしないため、先行リスクを抑えられる |
解体費用は、建物の構造、面積、接道、アスベスト調査、地中埋設物の有無などで変わります。契約後に想定外の費用が発生しないよう、解体業者から事前に複数の見積もりを取得し、地中障害物が出た場合の扱いも確認しておくことが重要です。
不動産会社の直接買取が向いている物件の特徴とメリット
雨漏り、シロアリ、傾き、再建築不可、接道条件の問題、遠方で管理が難しいといった事情がある場合は、仲介より直接買取が向くことがあります。
直接買取では、不動産会社が買主となるため、一般の個人買主を探すための内覧対応が不要です。残置物の処分、リフォーム、解体、再販売の準備を買主側で引き受ける条件にできる場合もあります。
仲介より価格が低くなる傾向はありますが、仲介手数料、残置物処分費、解体費、売却までの固定資産税、近隣対応、契約不適合責任のリスクなどを差し引くと、実質的な手残りや負担の差が小さくなることがあります。
なお、契約不適合責任の免責は、契約条件として個別に整理する必要があります。売主が知っている重大な不具合を故意に告げない場合まで責任を免れられるわけではありません。古い実家ほど、わかる範囲の状況を丁寧に説明し、契約書へ反映することが大切です。
実家を売りたい時にかかる諸費用と実際の手取り額シミュレーション
査定書に書かれた金額が、そのまま銀行口座に残るわけではありません。実家売却では、仲介手数料、測量、残置物処分、登記、印紙税、税金などの費用が発生します。売却価格だけでなく、最終的な手残りを基準に判断することが重要です。
実家売却で発生する費用一覧と支払いのタイミング
| 売却のステップ | 発生する主な費用項目 | 費用の目安や計算基準 | 支払いのタイミング |
|---|---|---|---|
| 売買契約の締結 | 仲介手数料 | 成約価格に応じて宅地建物取引業法の上限額の範囲内 | 契約時または決済時に支払うケースが多い |
| 売買契約の締結 | 印紙税 | 契約金額・軽減措置の適用状況により異なる | 契約書作成時 |
| 引渡し準備 | 境界確定測量費 | 40万円〜80万円程度、条件により100万円超の場合もある | 測量契約・成果品受領時など |
| 引渡し準備 | 残置物処分・解体費 | 処分20万円〜80万円、解体150万円〜300万円程度が目安 | 作業完了時など |
| 決済・引渡し | 登記関連費用 | 抵当権抹消、住所変更などの有無により異なる | 決済日 |
| 売却翌年 | 譲渡所得税・住民税 | 利益の有無、所有期間、特例適用の可否で異なる | 確定申告・納税時 |
仲介手数料や測量費、残置物処分費は、売却前に支払いが必要になることがあります。手元資金に余裕がない場合は、売買代金から精算できるか、買取条件に含められるかなどを早い段階で確認してください。
仲介手数料や測量費を差し引いた実際の手残り額の計算式
実家を売却した際の手取りは、概ね次のように考えます。
手取り現金額 = 売買価格 −(仲介手数料+測量費+残置物処分費+登記費用+印紙税+譲渡所得税など)
たとえば、地方都市にある築45年の戸建てを2,000万円で売却した場合を想定します。
- 売買代金:2,000万円
- 仲介手数料:72万6,000円
- 境界確定測量費:60万円
- 遺品整理・残置物処分費:45万円
- 司法書士報酬など:5万円
- 印紙税:1万円
- 諸経費合計:183万6,000円
- 税金を除く概算手残り:1,816万4,000円
この後、譲渡所得が発生する場合は、取得費や譲渡費用、特例の利用可否を踏まえて税額を計算します。購入時の契約書を紛失して取得費がわからない場合は、概算取得費として売却額の5%を用いることがあります。税額が大きく変わるため、古い契約書、領収書、増改築の記録などは捨てずに保管してください。
焦って相場より安売りして後悔しないための価格交渉対策
空き家を抱えていると、固定資産税、近隣からの指摘、草木の管理などが気になり、値引き交渉を受け入れたくなることがあります。しかし、価格だけで即決する前に、条件全体を見る必要があります。
たとえば、買主から200万円の値引き要求があった場合でも、残置物を買主負担にする、境界測量を省略する、契約不適合責任の範囲を限定する、引渡し時期を早めるといった条件を組み合わせれば、売主様の実質的な負担を抑えられる場合があります。
売出価格には、周辺の成約事例、売出中物件、土地の形状、道路条件、建物の状態、売却希望時期などを踏まえた根拠が必要です。単に高く出すのではなく、値引き交渉も見据えて販売戦略を立てることが、結果的に手残りを守ることにつながります。
実家を売りたい時の税金を劇的に減らす3大特例と確定申告の完全手順
不動産売却で利益が出れば、譲渡所得税や住民税がかかる場合があります。一方で、一定の要件を満たせば、3,000万円特別控除などの特例を使えることがあります。税金は売却後に慌てて確認するのではなく、売却方法を決める前に確認することが重要です。
空き家の3,000万円特別控除の適用要件と法改正の注意点
相続した実家の売却では、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が利用できる可能性があります。一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
主な要件として、被相続人が相続開始直前まで居住していたこと、一定の旧耐震基準の家屋であること、相続後に事業・賃貸・居住へ供されていないこと、売却代金が1億円以下であることなどが挙げられます。売却期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。
令和6年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合、控除額は一人当たり2,000万円が上限です。また、買主が取得後に耐震改修または家屋の除却を行う場合でも、一定の期限までに要件を満たせば適用できる制度になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 原則として最高3,000万円 |
| 相続人が3人以上の場合 | 令和6年1月1日以後の譲渡では一人当たり最高2,000万円 |
| 売却期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 売却価格の上限 | 1億円以下 |
| 注意点 | 建築年、居住状況、利用状況、耐震・解体要件を個別に確認する必要がある |
この特例を使いたいからといって、売主様が先に自腹で解体する必要があるとは限りません。買主側での解体や耐震改修を前提に売買契約を組める場合もあります。ただし、契約内容、工事期限、自治体が発行する確認書などが必要になるため、必ず税理士や自治体窓口へ確認してください。
マイホーム特例や取得費加算の特例を使い分けるポイント
親御様が施設へ入る前に生前売却する場合や、子どもが親御様と同居していた実家を売る場合には、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を検討できることがあります。
また、相続税を納めたうえで相続不動産を売却する場合には、相続税額の取得費加算の特例が使える可能性があります。相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却するなど、期限の要件があるため注意が必要です。
どの特例が使えるか、特例同士を併用できるかは、物件の利用状況、相続人の数、相続税の有無、売却時期によって異なります。売買契約後では選択肢が狭まる場合があるため、査定段階から税理士と連携して試算することをおすすめします。
利益が出なくても確定申告が必要になる重要ルール
3,000万円特別控除などの特例を使って税額がゼロになる場合でも、確定申告が必要です。特例は、要件を満たしているだけで自動適用されるものではありません。
売却した翌年の申告期間に、譲渡所得の内訳書、売買契約書、登記事項証明書、被相続人居住用家屋等確認書など、必要書類を添付して申告する必要があります。必要書類は使う特例や自治体によって異なるため、早めに確認しましょう。
実家を売りたい人が絶対にやってはいけない大失敗NG行動
実家を売りたいと考えたとき、「少しでも高く、早く手放したい」と思うのは自然です。しかし、焦りから取った行動が、売却期間の長期化や手残りの減少につながることがあります。
査定額の高さだけで不動産会社を選んでしまう失敗
一括査定などを利用すると、会社ごとに査定額が大きく異なることがあります。相場より数百万円高い金額を提示されると、そこへ依頼したくなるものです。しかし、査定額は売却保証ではありません。
私たちが相談を受けた案件で、当初の相場を2,000万円前後と見込んでいた実家がありました。残置物や建物の状態も踏まえ、条件次第では1,800万円程度が現実的という説明をしました。
ところが、別の会社から「2,480万円で売れます」と提示があり、ご家族はそちらと媒介契約を結びました。3か月間、内覧はありませんでした。その後、2,180万円への値下げ提案があり、さらに「更地にしたほうが売りやすい」と解体の話が出たそうです。
最終的には約1年が経過し、庭木の越境について近隣から指摘を受け、売主様は精神的にも疲弊していました。高い査定額を出した会社が悪いと一概には言えませんが、売却価格の根拠、販売計画、価格調整の考え方、問い合わせ状況の報告方法まで確認しておけば、違う結果になった可能性はあります。
| 不動産会社のタイプ | 査定時の特徴 | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| 高額査定を提示する会社 | 売主の期待に沿う数字が出やすい | 成約事例、販売期間、値下げの想定を確認する |
| 成約事例を重視する会社 | 数字が派手ではないこともある | 競合物件、買主層、販売戦略の説明を確認する |
| 直接買取を行う会社 | 仲介より価格が低めになりやすい | 処分費・手数料・引渡し条件を含めた手残りを比較する |
古い実家で契約不適合責任を免責にしないリスク
築年数が古い実家では、雨漏り、シロアリ、給排水管の劣化、基礎や床の不具合など、売主様が把握しきれていない問題があることもあります。
個人間売買では、引渡し後に契約内容に適合しない不具合が見つかった場合、修補、代金減額、損害賠償、契約解除などを求められる可能性があります。責任の範囲や期間は契約で調整できますが、売主が知っていた不具合を告げなかった場合まで免責できるわけではありません。
古い実家を売る際は、現況有姿、契約不適合責任の期間・範囲、告知事項、設備表などを丁寧に整理することが重要です。買主が不動産会社の場合は、条件を調整しやすいケースもありますが、物件の状態を誠実に開示する姿勢は変わりません。
遠方の実家を放置して特定空家に指定される危機
遠方の実家は、片付けや売却の判断を先送りにしやすいものです。しかし、空き家の放置には固定資産税だけでなく、近隣トラブルや行政対応のリスクがあります。
空家等対策の推進に関する特別措置法では、管理が不十分な空き家について、市区町村が管理不全空家や特定空家として指導・勧告などを行う場合があります。勧告を受けると、住宅用地特例が解除され、固定資産税などの負担が増える可能性があります。
- 庭木や雑草が隣地へ越境し、近隣から苦情が入る
- 屋根材や外壁の落下により、第三者へ損害を与えるおそれがある
- 不法投棄や不法侵入、放火などのリスクが高まる
- 行政代執行が行われた場合、費用負担を求められる可能性がある
遠方で頻繁に通えない場合は、管理会社の利用、現況での売却、買取の検討など、放置以外の選択肢を早めに比較してください。
実家を売りたい複雑な権利関係や空き家の処分なら株式会社トップトラストへ
長年放置された空き家や、家族の思い出が詰まった家具であふれる住まいを手放す決断には、想像以上のエネルギーが必要です。兄弟間で意見が分かれている、親御様の判断能力に不安がある、名義が昔のまま、遠方で現地に行けないといった事情が重なると、どこから始めるべきか分からなくなることもあります。
私たちが実家じまいのご相談で大切にしているのは、売却価格だけを見るのではなく、片付け・解体・税金・登記・売却後の責任まで含めた手残りと負担を整理することです。
首都圏から全国各地の実家売却と空き家処分に対応する総合力
株式会社トップトラストは東京都新宿区に拠点を置き、首都圏だけでなく、全国の不動産売買に関するご相談に対応しています。
遠方の実家では、現地への交通費、片付けにかかる日数、鍵の管理、近隣対応などが大きな負担になります。郵送、電話、オンライン面談などを活用しながら、現地調査、役所調査、査定、販売方法の整理を進めることが可能です。
| お悩み・物件の状況 | よくある失敗例 | ご案内できる選択肢 |
|---|---|---|
| 地方の実家へ通えない | 交通費と時間だけがかかり、売却判断が遅れる | 現地確認・郵送・オンラインを活用した進行方法の検討 |
| 遺品や大型家具が大量にある | 高額な処分費を先に自己負担する | 現状有姿売却、買取、売却代金からの精算を比較する |
| 建物が古く傷みがある | 解体費を出せず放置する | 古家付き土地、解体更地渡し、直接買取を比較する |
仲介と自社直接買取の両建て提案で手残りを最大化
実家の状況によって、仲介と直接買取のどちらが適しているかは変わります。株式会社トップトラストでは、どちらか一方を最初から決めるのではなく、売却価格、必要な費用、売却期間、契約条件、引渡し後の責任を比較してご提案します。
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仲介による売却
市場で広く買主を探す方法です。立地条件が良い、建物に活用余地がある、売却まで一定の時間を取れる場合には、より高い成約価格を目指せる可能性があります。 -
直接買取
不動産会社が買主となる方法です。残置物、建物の劣化、遠方管理、早期売却などの事情がある場合に、売却条件を早く固めやすい選択肢です。仲介手数料がかからないケースもあります。
解体費だけで200万円前後、残置物処分費で数十万円という見積もりが出ると、売主様は「先に払わなければ売れない」と感じがちです。しかし、物件によっては、先にお金を使わずに売却できる方法があります。大切なのは、売出価格ではなく、最終的に残る金額と時間的・精神的な負担を比較することです。
提携士業との強固なネットワークによるワンストップ相談体制
実家売却には、相続登記、遺産分割、成年後見、家族信託、譲渡所得税、空き家特例など、法律や税務の論点が関わります。
株式会社トップトラストでは、案件に応じて税理士、司法書士、弁護士などの専門家と連携し、売却前の整理から売却後の税務対応まで見通したご相談を承っています。
不動産会社だけで結論を急ぐのではなく、必要な場面で専門家の意見を確認し、ご家族が納得できる選択肢を整理することを大切にしています。
この記事を書いた理由
著者:株式会社トップトラスト
2018年の設立以来、私たちは全国の不動産売買、買取再販、賃貸管理、資産運用に関するご相談を受けてきました。
実家売却で繰り返し感じるのは、「きれいにしてから売る」「高く査定した会社へ任せる」「相続してから考える」という一般的な考え方が、すべてのご家庭に当てはまるわけではないということです。
特に印象に残っているのは、片付けのために週末を何か月も使い、心身ともに疲れ切ってしまったご家族です。また、相場より高い査定額を信じて売却を始めたものの、内覧が入らず、値下げと管理負担だけが続いたケースもありました。
不動産売却は、物件の価格だけで決まるものではありません。家族の気持ち、相続関係、税金、片付け、解体、近隣との関係、売却後の責任まで含めて判断する必要があります。
ネット上の一般論だけでは判断しにくい部分を、現場での経験をもとに少しでも具体的にお伝えしたいと考え、本記事を執筆しました。
よくある質問
実家を売りたいけど荷物はそのままで売れる?
売却条件によっては、家具や遺品を残したまま売却できます。4LDK程度の実家では残置物処分に50万〜100万円前後かかる例もあるため、処分前に現状有姿売却や直接買取の条件を比較することが大切です。
実家を売る前に解体したほうがいい?
建物の状態や土地の需要によって異なりますが、買主が決まる前に解体する必要はありません。木造戸建ての解体には150万〜300万円程度かかることがあり、翌年1月1日時点で建物がないと税負担が増える可能性もあります。
親が施設に入った実家は子どもだけで売れる?
親御様に十分な意思能力があり、適切な委任を受けられる場合は、子どもが代理人として手続できることがあります。ただし、親御様の意思確認が必要で、成年後見制度を利用している場合は家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
親が認知症になったら実家は売れない?
親御様が売却内容を理解して判断することが難しい状態では、通常の売却は進めにくくなります。成年後見人が選任された場合でも、居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要で、手続に数か月以上かかることがあります。
相続した実家を売るには相続登記が必要?
原則として必要です。相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
兄弟で相続した実家は共有名義にしてもいい?
共有名義にすることはできますが、将来売却するなら慎重に検討すべきです。売却や解体には共有者全員の協力が必要になり、相続が重なると関係者が増えて手続が難しくなることがあります。
相続した空き家を売ると3,000万円控除は使える?
一定の要件を満たせば利用できる可能性があります。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどが条件で、相続人が3人以上の場合は1人当たりの控除上限が2,000万円となる場合があります。

