不動産売却の確定申告の全知識！税理士への依頼のコツも解説

不動産を売却した際の確定申告、あなたは正しく理解していますか？

「売却した後に税金が発生することは知っていたけれど、確定申告が必要かどうかはよく分からない…」「申告を忘れると罰則があると聞いたけど、本当に大丈夫？」そんな不安を抱えていませんか？

実は、不動産を売却した際に確定申告が必要になるケースは多く、申告しないことで延滞税やペナルティが発生する可能性もあります。国税庁の最新データによると、譲渡所得に関する申告漏れによる追徴課税の件数は年々増加しており、申告ミスが後から大きな負担になるケースが少なくありません。

しかし、ご安心ください。最後まで読めば、「自分に必要な手続き」が明確になり、余計な税金を支払うリスクを避けることができます。

確定申告をしなかったことで、あとから高額な税金が発生した…そんな後悔をしないために、ぜひ本記事をチェックしてみてください。

申告が必要な場合と不要な場合

不動産を売却した場合、すべてのケースで確定申告が必要になるわけではありません。確定申告が必要かどうかは、譲渡所得の有無や適用される控除の種類によって異なります。

確定申告が必要なケース

• 売却益が発生し、譲渡所得が課税対象となる場合
• 3000万円特別控除の適用を受ける場合（申告が必要）
• 短期譲渡所得（所有期間5年以下）の場合（税率が高いため要注意）
• 相続した不動産を売却した場合（相続税の取得費加算の適用判断が必要）
• 住宅ローン控除を受けていた場合（売却後の影響を考慮するため）

確定申告が不要なケース

• 売却損が発生し、他の所得との損益通算が不要な場合
• 売却価格が取得費＋譲渡費用を下回り、譲渡所得がゼロになる場合
• 特例を適用しない場合（課税所得がないと判断されるケース）

確定申告しないリスク

不動産売却に伴う確定申告を怠ると、さまざまなリスクが発生します。特に高額な取引となる不動産売却は、税務署の監視が厳しく、申告漏れが発覚した場合のペナルティも大きくなります。以下に、確定申告をしないことで生じる具体的なリスクを解説します。

無申告加算税が発生する
確定申告の期限までに申告しなかった場合、納めるべき税額に対して「無申告加算税」が課されます。加算税の割合は以下のように設定されており、申告の遅れが長引くほど負担が増大します。

期限後の申告状況	無申告加算税の割合
税務署から指摘される前に自主的に申告	5%
税務署の指摘後に申告し、50万円以下の部分	10%
税務署の指摘後に申告し、50万円超の部分	15%
悪質な場合（意図的な隠ぺいなど）	20%

例えば、納税額が100万円だった場合、最大20万円の無申告加算税が発生する可能性があります。

延滞税の発生
確定申告が遅れると、納めるべき税額に対して「延滞税」が発生します。延滞税は日ごとに加算され、長期間放置すると負担額が大きくなります。
延滞税の計算は「納付期限の翌日から納付する日までの期間」に応じて、年率7.3%または特例基準割合＋1%のいずれか低い方が適用されます。

税務調査の対象になりやすい
不動産売却は金額が大きく、税務署も申告漏れを重点的にチェックしています。特に以下のようなケースでは、税務調査が入りやすくなります。

• 過去に税務申告を行っていない
• 多額の譲渡所得が発生しているのに申告をしていない
• 複数回にわたり不動産を売却している

税務調査では、売買契約書や銀行の取引履歴などを細かくチェックされ、悪質な申告漏れが認められると「重加算税」が課される可能性もあります。

3000万円特別控除を適用できない
自宅を売却した場合、一定の条件を満たせば3,000万円の特別控除が適用され、課税対象となる譲渡所得を大幅に減らすことができます。しかし、この控除を受けるためには確定申告が必須です。
もし申告しなければ、控除を受ける権利を失い、不要な税負担を強いられることになります。例えば、3,000万円の控除を適用しないと、以下のように税額が変わります。

売却益	控除なし（税率20%適用）	3,000万円控除適用
4,000万円	800万円	200万円

申告漏れにより控除を受けられないと、余計な税負担を抱えてしまうことになります。

将来のローン審査に影響を及ぼす
確定申告は、所得証明書を発行するための基礎となります。確定申告をしないと、所得証明書に記載される金額が正しく反映されず、住宅ローンや事業用ローンの審査に影響を及ぼす可能性があります。
特に個人事業主やフリーランスの方は、所得証明が重要視されるため、確定申告を行わないと審査で不利になることがあります。

損益通算の機会を失う
不動産を売却して損失が出た場合、その損失を他の所得と相殺する「損益通算」が可能です。例えば、給与所得がある場合、不動産売却の損失を差し引くことで所得税の負担を軽減できます。
しかし、確定申告をしなければこの制度を利用できず、損失分を相殺する機会を失ってしまいます。

確定申告を怠ると、無申告加算税や延滞税、税務調査のリスク、特別控除の適用不可、ローン審査への影響、損益通算の機会損失といった深刻なデメリットが発生します。
不動産売却後は、必要な書類を揃えて適切に申告を行い、余計な税負担やトラブルを回避しましょう。

住宅ローン控除との関係

不動産売却時の確定申告は、住宅ローン控除（住宅借入金等特別控除）と関係があります。

売却時の影響

• 住宅ローン控除を受けている場合、売却で適用が終了（控除期間内に売却した場合、残りの控除は消滅）
• 買い替え時に住宅ローン控除を受ける場合、3000万円特別控除と併用不可（どちらか一方を選択する必要あり）
• 住宅ローン残債がある状態での売却は金融機関の承認が必要（抵当権抹消手続きが必要）

住宅ローン控除を活用しながら不動産売却を検討する場合、どの特例や控除を適用するか事前に検討し、シミュレーションを行うことが重要です。

国税庁サイトでの申告方法

不動産を売却した場合、確定申告が必要となるケースがあります。特に売却益が発生した場合、適切に申告を行わないと追加の税負担が発生する可能性があるため、確実な手続きを進めることが重要です。

国税庁の公式サイトでは、確定申告の手続きが詳細に説明されています。オンラインで申告を行う場合、以下の手順で進めます。

1. 国税庁のe-Taxサイトにアクセス
   公式ページへ移動し、確定申告書作成コーナーを開きます。ここでは所得や控除額を入力できる専用のフォームが提供されています。
2. 申告者情報の入力
   名前、住所、マイナンバーなどの個人情報を入力します。また、事前にマイナンバーカードを取得し、対応するICカードリーダーを準備しておくと、スムーズに認証が行えます。
3. 不動産売却に関する情報の入力
   売却した不動産の種類（マンション、一戸建て、土地など）、売却価格、購入時の価格、譲渡所得計算に必要な経費（仲介手数料、測量費、登記費用など）を入力します。
4. 控除適用の確認
   特別控除の適用があるかを確認します。例えば、居住用財産の3000万円特別控除、または特定の要件を満たす場合に適用される軽減税率などの申請が可能です。
5. 税額の計算と確認
   システムが自動で税額を計算し、確定申告の必要額を提示します。ここで所得税・住民税の負担額を事前に把握し、納税計画を立てることができます。
6. 申告書の電子送信または印刷
   完成した申告書は、そのままe-Taxでオンライン送信するか、PDFをダウンロードし、紙で提出する方法を選択できます。
7. 納税または還付手続き
   確定申告の結果、納税が必要な場合は、指定された期限までに税額を納付します。還付が発生する場合は、指定の口座に振り込まれるまでの期間を確認しましょう。

添付書類の準備

確定申告には、必要な書類を準備することが欠かせません。以下の書類を揃えておくと、スムーズに申告が進められます。

基本的な添付書類一覧

書類名	内容	取得方法
確定申告書B	申告者の収入・控除・税額を記載	国税庁サイトまたは税務署
譲渡所得の内訳書	不動産売却による所得を計算する書類	国税庁サイトまたは税務署
売買契約書のコピー	売却価格や契約日を証明する書類	契約時に発行される
取得費の証明書類	購入時の価格を示す書類（登記簿謄本等）	購入時の書類、法務局
仲介手数料の領収書	不動産会社へ支払った仲介手数料	不動産会社発行の領収書
3000万円特別控除の証明書	居住用財産としての使用を証明する書類	税務署や自治体

事前にこれらの書類を揃えておくことで、確定申告時の手間を大幅に減らせます。

申告書の記入例

確定申告書の作成では、各欄に正確な情報を記載することが求められます。以下は、基本的な記入項目です。

確定申告書Bの主な記入項目

1. 氏名・住所・マイナンバー
   申告者の情報を正確に記載し、本人確認書類と照合します。
2. 所得の種類
   不動産売却による「譲渡所得」を該当欄に記入し、売却額・取得費・経費などを計算して記載します。
3. 控除の適用
   3000万円特別控除が適用される場合は、その旨を記入し、控除後の譲渡所得を計算します。
4. 納付税額の算出
   所得税・住民税の金額を算出し、最終的な納税額を確認します。
5. 振込先口座の記入
   還付金が発生する場合は、指定の銀行口座を記入し、還付手続きを進めます。

正確な情報を記入することで、税務署からの追加確認や修正依頼を避けることができます。

確定申告の注意点

確定申告を行う際には、以下の点に注意が必要です。

• 期限を厳守
  期限内に申告を行わないと、延滞税や加算税の対象となるため、事前にスケジュールを立てておくことが重要です。
• 控除適用の確認
  3000万円特別控除や長期譲渡所得の軽減税率など、適用できる控除を漏れなく利用することで、納税額を最適化できます。
• 書類の保存義務
  確定申告後も、関係書類は最低5年間保管する義務があるため、大切に管理しましょう。

確定申告の手続きを正しく理解し、スムーズに進めることで、税務トラブルを防ぐことができます。

オンライン申請の手順

e-Taxは、国税庁が提供する電子申告システムで、確定申告をインターネット経由で行うことができます。従来の紙の申告と比べて、申請の簡便さや提出期限の延長といったメリットがあります。ここでは、e-Taxを利用した確定申告の具体的な手順について詳しく説明します。

1. e-Taxの利用環境を整える
e-Taxを利用するには、以下の環境を準備する必要があります。

• インターネット環境
• e-Tax対応のブラウザ（Google ChromeやMicrosoft Edgeなど）
• マイナンバーカード
• ICカードリーダーまたはスマートフォン（NFC機能対応）
• 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」へのアクセス

2. e-Taxにログインする

1. 「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。
2. マイナンバーカードまたはID・パスワード方式でログインします。
3. 必要な申告内容を入力します。

3. 申告データの入力

• 「所得の種類」を選択し、譲渡所得（不動産売却）を選びます。
• 物件の取得価格や売却価格を入力します。
• 取得費や譲渡費用（仲介手数料・印紙税など）を入力します。

4. 必要書類の添付
電子データとして添付する必要がある書類には、以下のものがあります。

書類の種類	必要なケース	提出方法
売買契約書の写し	すべての不動産売却	PDFまたは画像アップロード
登記事項証明書	所有期間の証明	PDFまたは画像アップロード
仲介手数料の領収書	仲介業者を利用した場合	PDFまたは画像アップロード

5. 申請内容の確認と送信

• 申告内容に誤りがないかチェックし、申請データを送信します。
• 送信完了後、控えを保存し、受付結果を確認します。

添付書類の提出方法

e-Taxを利用する場合、紙の申請とは異なり、書類の提出方法もオンラインで完結できます。添付書類の提出方法を詳しく見ていきます。

1. 書類のスキャンとデータ化
必要書類はスキャンし、PDF形式または画像データ（JPEG、PNG）として保存します。書類の読み取りが不鮮明だと受付されないため、鮮明にスキャンすることが重要です。

2. e-Taxでの添付書類アップロード
確定申告書作成時に「添付書類の提出」画面で、必要な書類をアップロードします。

3. 提出方法の選択
書類の提出方法には以下の2種類があります。

提出方法	概要	推奨ケース
e-Taxでの電子提出	電子データを直接アップロード	すぐに申請を完了させたい場合
書類の郵送	必要書類を税務署に郵送	スキャナーがない場合

4. 受付結果の確認
アップロード後、送信が正常に完了したかをe-Taxの「申告等の受付システム」で確認します。

マイナンバーカードの活用

e-Taxでの申告には、マイナンバーカードが重要な役割を果たします。マイナンバーカードの活用方法について説明します。

1. マイナンバーカードを利用する理由

• 本人確認がオンラインで完了し、税務署への来訪が不要
• ID・パスワード方式よりも安全性が高い
• マイナポータル連携機能を利用して、必要情報の自動入力が可能

2. マイナンバーカードの読み取り方法
e-Taxを利用する際、マイナンバーカードの情報を読み取る方法は2種類あります。

読み取り方法	必要機器	利用手順
ICカードリーダー	PCとICカードリーダー	e-Tax対応ソフトでカードを読み取る
スマートフォン（NFC対応）	NFC対応スマホ	e-Taxアプリを利用し、カードをスマホでスキャン

3. マイナンバーカードの有効期限に注意
マイナンバーカードの有効期限が切れているとe-Taxが利用できません。事前に有効期限を確認し、更新手続きを行うことが重要です。

e-Taxを使うべき人と使わなくてもいい人

e-Taxは便利な申告方法ですが、全員にとって最適な方法とは限りません。ここでは、e-Taxを使うべき人と使わなくてもいい人について説明します。

1. e-Taxを使うべき人
以下の条件に当てはまる人は、e-Taxの利用をおすすめします。

• できるだけ早く還付を受けたい
• 自宅で申告を完結させたい
• マイナンバーカードをすでに持っている
• 複数年にわたって確定申告を行う予定がある

2. e-Taxを使わなくてもいい人
e-Taxを利用しなくても問題ない人は、以下のようなケースです。

• 書類のスキャンやデータ化が難しい
• マイナンバーカードを持っていない
• 紙の申告書の作成に慣れている
• 近くに税務署があり、直接提出できる

e-Taxを利用することで、確定申告を効率的に進めることができます。オンライン申請の手順や添付書類の提出方法、マイナンバーカードの活用について詳しく理解し、自身にとって最適な申告方法を選ぶことが大切です。

相続登記と確定申告の関係

相続した不動産を売却する場合、相続登記を行った後に確定申告が必要です。相続登記とは、亡くなった方（被相続人）から相続人へ名義を変更する手続きです。相続登記が完了しないと、不動産の売却ができないため、確定申告の前提として行う必要があります。

相続登記後、売却益が発生した場合には、譲渡所得税の対象となるため、確定申告を行います。相続時の取得価格（被相続人が取得した際の価格）を基に譲渡所得を計算し、申告・納税を行います。

相続税との違い

相続税と不動産売却時の確定申告における税金は別のものです。相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合に発生する税金であり、被相続人が亡くなった時点で課税されます。一方、不動産売却に伴う税金（譲渡所得税）は、相続した不動産を売却して利益が出た場合に課せられるものです。

相続税と譲渡所得税の違いを整理すると、以下のようになります。

税金の種類	課税対象	申告義務者	計算方法
相続税	相続財産の総額	相続人	相続財産総額 – 基礎控除額 × 税率
譲渡所得税	不動産売却による利益	売主（相続人）	売却額 – 取得費 – 諸経費 × 税率

特例と控除制度

相続不動産を売却する際には、税負担を軽減できる特例や控除が用意されています。代表的なものとして、以下の特例があります。

• 相続税の取得費加算の特例
  相続した不動産の売却時に、支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度です。相続税を支払った場合、譲渡所得が減額され、税負担が軽減される可能性があります。
• 3,000万円特別控除
  居住用財産を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。相続した不動産が「被相続人が居住していた住宅」である場合には適用可能なケースがあります。
• 軽減税率の適用
  所有期間が5年を超える不動産を売却した場合、軽減税率が適用される可能性があります。

  特例名	内容	適用条件
  相続税の取得費加算	支払った相続税を取得費に加算可能	相続税を支払った場合
  3,000万円特別控除	譲渡所得から3,000万円を控除	被相続人が居住していた住宅
  軽減税率	所有期間が長い場合に税率が低下	5年以上保有

  相続不動産売却時の税務リスク

  相続した不動産の売却時には、税務上のリスクも考慮しなければなりません。

  • 取得費が不明な場合のリスク
    被相続人が不動産を取得した際の購入価格（取得費）が不明な場合、売却価格の5％を取得費として計算するルールがあります。この場合、譲渡所得が大きくなり、税負担が増加するリスクがあります。
  • 売却時期による税負担の変動
    相続した不動産の売却時期によって、税率が変わります。相続後5年以内に売却すると、短期譲渡所得として税率が高くなるため、長期譲渡所得（5年以上）での売却を検討することも重要です。
  • 確定申告の未提出によるペナルティ
    売却後に確定申告を忘れると、延滞税や加算税が発生します。適切な期限内に申告を行うことが重要です。

  被相続人の確定申告が必要なケース

  被相続人が生前に確定申告を行っていた場合、その年の未申告分を「準確定申告」として申告する必要があります。

  • 準確定申告の期限
    被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続開始後4か月以内に申告が必要です。
  • 準確定申告が必要なケース
    • 被相続人が事業所得を得ていた
    • 不動産所得があった
    • 年間の医療費控除などで還付申告の対象になる可能性がある
  • 準確定申告の提出先
    被相続人の最後の住所地を管轄する税務署へ提出します。

    項目	内容
    申告期限	相続開始後4か月以内
    提出先	被相続人の住所地の税務署
    必要書類	確定申告書、源泉徴収票、各種控除証明書

    相続不動産の売却時には、確定申告や特例適用の可否などを事前に確認し、税負担を最小限に抑えることが大切です。

申告の期限と罰則

確定申告には明確な期限が定められており、期限内に手続きを完了しない場合、罰則が発生する可能性があります。特に不動産売却による確定申告は、税務署が注視するポイントの一つであり、適切な申告を怠ると延滞税や無申告加算税が課せられることになります。

確定申告の期限は、通常以下の通りです。

確定申告対象	申告期限
一般的な所得税の確定申告	毎年3月15日
消費税の確定申告	毎年3月31日
青色申告の承認申請	事業開始から2か月以内

不動産売却に伴う確定申告は、売却した翌年の確定申告期間内に行う必要があります。例えば、2024年に不動産を売却した場合、その所得を2025年の確定申告で申告する必要があります。

申告を怠った場合、次のような罰則が発生します。

罰則内容	適用条件	税率・金額
無申告加算税	期限までに申告しなかった場合	本来の税額の5％～20％
延滞税	期限を過ぎて納税した場合	日割計算で年率2.4％～14.6％
重加算税	悪質な場合（意図的な申告漏れ）	本来の税額の35％～40％

無申告加算税は、納税すべき税額が50万円以下の場合5％、50万円を超える部分は10％が課されます。さらに、税務署の調査が入ると税率が15％～20％に引き上げられます。

期限を過ぎた場合の対応

申告期限を過ぎた場合でも、できる限り早く申告を行うことで、罰則を軽減できる可能性があります。税務署に自主的に申告すれば、無申告加算税の税率が下がることもあります。

期限を過ぎてしまった場合の具体的な対応手順は以下の通りです。

1. できるだけ早く申告書を作成する
   　税務署の窓口またはe-Taxを利用して、速やかに確定申告書を作成します。
2. 延滞税・無申告加算税の計算を行う
   　税額を確認し、遅延による追加負担を理解した上で納税準備を行います。
3. 納付を完了する
   　税務署の指示に従い、銀行振込やコンビニ支払いで税金を納付します。

確定申告でよくあるミスと対策

不動産売却の確定申告では、ミスが発生しやすいポイントがあります。これらの注意点を事前に把握し、適切に対処することで、スムーズな申告が可能になります。

よくあるミスと対策

ミス	対策
取得費を適切に計上しない	購入時の契約書や仲介手数料を確認し、正しく計算する
3000万円控除の適用を忘れる	居住用財産であることを証明する書類を準備
申告期限を過ぎる	期限前にe-Taxで早めに申告
譲渡費用の領収書を紛失する	必ずコピーを取って保管
税務署の問い合わせ対応を怠る	事前に必要書類をチェックし、指示に従う

不動産売却の確定申告は、適切な方法で行うことで税負担を軽減し、スムーズに進めることが可能です。事前準備をしっかりと行い、e-Taxを活用することで、時間と手間を省くことができます。

自分で申告する場合と税理士に依頼する場合の比較

不動産売却における確定申告は、個人でも可能ですが、税理士に依頼することでさまざまなメリットがあります。どちらを選ぶべきか、両者の違いを詳しく見ていきます。

自分で確定申告を行う場合のメリットとデメリット

確定申告を自分で行うことは可能ですが、税務知識が求められるため注意が必要です。

項目	メリット	デメリット
コスト	税理士報酬が不要で費用を抑えられる	書類作成に時間と労力がかかる
知識	税務に関する知識が身につく	間違いが発生すると追加の税金や罰則の可能性
手続きの負担	e-Taxを利用すればオンラインで完結できる	申告ミスがあっても自己責任

不動産売却の確定申告では、譲渡所得税の計算や減価償却費の計上、控除の適用可否など専門知識が求められます。そのため、税務に詳しくない場合は慎重に判断する必要があります。

税理士に依頼する場合のメリットとデメリット

税理士に依頼することで、手続きの負担が軽減されるだけでなく、節税対策を考慮した申告が可能になります。

項目	メリット	デメリット
正確性	専門家が行うため、誤りのリスクが少ない	依頼する税理士によってサービスの質が異なる
節税効果	控除の適用など、最適な申告ができる	報酬が発生するため、コストがかかる
手続きの簡略化	書類準備や提出を代行してくれる	依頼後も必要書類の準備が必要

税理士に依頼する最大のメリットは、税金を最小限に抑えることができる点です。税法の改正に対応した申告ができ、万が一の際の対応も任せられます。

税理士を選ぶポイント

税理士を選ぶ際に考慮すべきポイントは以下のとおりです。

1. 不動産売却の確定申告に強い税理士を選ぶ
   すべての税理士が不動産売却の申告に精通しているわけではありません。実績や専門性を確認しましょう。
2. 報酬体系が明確であること
   依頼前に料金体系を確認し、追加費用の有無もチェックしておくことが重要です。
3. 無料相談の活用
   初回の相談が無料の税理士も多いため、複数の税理士と面談して比較検討するのもよいでしょう。

相談すべきタイミング

不動産売却に伴う確定申告は、タイミングを逃さないことが重要です。

税理士に相談するべきタイミング

タイミング	理由
売却前	節税対策を考慮した売却計画を立てるため
売却後すぐ	必要書類の準備や申告内容を整理するため
確定申告期限が近づいた時	期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するため

確定申告の期限は通常翌年3月15日（例年通りであれば3月15日が土日の場合は翌営業日）ですが、早めに準備しておくことでスムーズな申告が可能です。

税理士に依頼するかどうかの判断基準

税理士への依頼を検討する際、以下の点を考慮するとよいでしょう。

• 売却価格が高額である場合
  3,000万円以上の売却は税額が大きくなるため、専門家に依頼するのが賢明です。
• 複雑な控除が関係する場合
  3,000万円特別控除や軽減税率などの適用を受ける際は、税理士に確認するのが安全です。
• 過去に確定申告の経験がない場合
  初めての申告で不安がある場合、税理士に依頼することでミスを防ぐことができます。

不動産売却の確定申告は、自分で行うことも可能ですが、税理士に依頼することで手間を省き、節税対策も可能になります。特に高額な不動産を売却した場合や、控除制度を活用したい場合は、税理士のサポートを受けることをおすすめします。

不動産を売却した際の確定申告は、税金の負担を適正にし、不要なペナルティを回避するために重要な手続きです。しかし、多くの人が「自分の場合は申告が必要なのか」「どのように計算すればいいのか」といった疑問を抱えています。

確定申告が必要になるかどうかは、売却した不動産の種類や所有期間、譲渡所得の有無によって変わります。適用できる控除制度を正しく理解することが節税のカギとなります。

申告を怠った場合、延滞税や加算税が発生し、本来よりも多くの税金を支払うリスクがあります。国税庁のデータによると、譲渡所得に関する申告漏れによる追徴課税は増加傾向にあり、特に不動産売却に関する税務処理のミスは重大な影響を及ぼします。

一方で、税理士に依頼することで、申告漏れのリスクを回避し、最適な控除制度を適用できる可能性が高まります。税理士の費用は、申告の複雑さや依頼内容によって異なりますが、5万円～20万円が一般的な相場です。

不動産売却の確定申告を正しく行うことで、税負担を最小限に抑え、将来的なリスクを回避することができます。この記事で得た知識を活かし、確定申告の準備を進めましょう。早めの対応が、余計な出費を防ぐ最善の策となります。

Q. 不動産売却で確定申告が必要な場合と不要な場合は？
A. 不動産売却の確定申告は、売却によって譲渡所得が発生した場合に必要です。具体的には、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた後に利益が出た場合に申告が求められます。一方、損失が出た場合でも確定申告を行うことで、損益通算を適用し、最大3年間の繰越控除が可能になります。ただし、売却益が3000万円以下で、マイホーム特例が適用できる場合は確定申告不要です。また、相続で取得した不動産を売却する際には、相続登記が完了しているか、取得費が適切に計算されているかを確認する必要があります。

 

Q. 確定申告をしないとどのようなペナルティがある？
A. 確定申告を怠ると、さまざまなペナルティが発生します。まず「無申告加算税」が課せられ、税務署からの指摘後に申告した場合は10%～20%の加算税が発生します。また、「延滞税」は納付期限を過ぎると日割りで計算され、最大で年率7.3%がかかることもあります。さらに、不動産売却は高額な取引のため税務署の監視が厳しく、申告漏れがあれば税務調査の対象になりやすいです。特に、3000万円控除を適用するためには申告が必須であり、これをしないと不要な税負担が発生するため、確定申告は適切に行うべきです。

 

Q. e-Taxを使って確定申告するとどんなメリットがある？
A. e-Taxを利用することで、確定申告の負担を大幅に軽減できます。最大のメリットは「申告期限の延長」で、紙の申告書では3月15日までの提出が必要ですが、e-Taxでは最大で4月15日まで延長可能です。また、オンラインで申告できるため税務署に行く手間が省け、24時間いつでも申告が可能です。さらに、添付書類の提出が省略できるケースもあり、郵送費の節約にもなります。特に、住宅ローン控除や3000万円特別控除などの適用を受ける場合、e-Taxの利用で審査がスムーズになることが多いため、活用をおすすめします。

会社名・・・株式会社トップトラスト
所在地・・・〒160-0007 東京都新宿区荒木町5番地四谷荒木町スクエア５F・６F
電話番号・・・03-5315-0370